東大の次期総長選考、何が問題?意向投票1位でない藤垣裕子氏が選ばれ、教職員有志が説明を要望

東大総長選考 何が問題? バズニュース

東京大学の次の総長(学長)に、藤垣裕子氏が選ばれました。東大で初めての女性総長です。ところが、学内の「意向投票」で過半数を取ったのは別の候補者でした。10月13日には、教職員の有志が選考の説明を求める要望書を出しています。何が起きているのか、報道と大学の発表で確認できる事実を時系列で整理します。この記事は2026年10月14日時点の情報です。

ざっくり言うと

  • 9月28日、東大の総長選考・監察会議が、次期総長予定者に藤垣裕子氏を選んだ。任期は2027年4月から6年間。
  • 同じ日の学内の意向投票では、染谷隆夫氏が2回目の投票で過半数を得ていた。藤垣氏は2位。
  • 意向投票で1位でなかった人が選ばれたのは初めてと報じられている。10月13日、教職員有志が「どう判断したのか説明してほしい」と要望書を提出。賛同者は523人。

そもそも東大の総長はどう決まる?

東大の総長は、「総長選考・監察会議」という会議が決めます。メンバーは学内の委員8人と学外の委員8人の計16人。今回の議長は、学外委員の国谷裕子氏です。

会議が候補者を絞りこんだあと、教授などの教職員が投票する「意向投票」が行われます。ただし、意向投票は判断材料の一つで、結果に会議がしばられるわけではありません。最終的には、候補者の資料、面接、所信表明、意向投票の結果などを総合的に考えて、会議の委員の投票で決めます。

時系列で整理

  • 4月1日:総長選考・監察会議の初会合。議長に国谷裕子氏。
  • 4月7日:総長選考の開始を公示。
  • 7月1日:第1次候補者を決定。
  • 8月18日:第2次候補者5人を決定(大越慎一、菅野暁、染谷隆夫、藤垣裕子、山本隆司の各氏)。
  • 9月28日:意向投票を実施。同じ日の午後、会議が藤垣氏を総長予定者に決定。
  • 9月29日:国谷議長と藤垣氏が会見。
  • 10月6日:文部科学相が閣議後の会見で、東大が丁寧に説明していくことが重要だという考えを示す。
  • 10月9日ごろ〜:教職員有志が学内で賛同者を募る。
  • 10月13日:教職員有志が要望書を提出。

意向投票の結果

東大新聞オンラインなどが報じた意向投票の結果です(有資格者は2,583人)。

候補者1回目2回目
染谷隆夫818票(38.0%)1,107票(51.0%)
藤垣裕子400票(18.6%)553票(25.5%)
山本隆司377票(17.5%)451票(20.8%)
大越慎一363票(16.8%)―
菅野暁152票(7.1%)―

2回目で過半数を得たのは染谷氏。会議が選んだのは、2回目で2位の藤垣氏でした。東大新聞などは、意向投票で1位でなかった人が選ばれたのは初めてと報じています。

何が問題になっている?

制度の上では、会議が意向投票と違う人を選ぶことは認められています。問題とされているのは、なぜ違う結論になったのかが、外から読み取れないことです。

大学が公表した選考理由は、藤垣氏が「求められる総長像」の資質を十分に備えていること、文理融合や学内外のコミュニケーションを通じて開かれた大学に変えていく力があること、などです。一方で、意向投票の結果をどう考えたのか、他の候補者とどう比べたのかは、具体的には説明されていません。

当事者の説明

  • 国谷議長(9月29日の会見):意向投票は「あくまでも選考資料の一つ」。結果的に意向投票を覆す形になったことに「批判が全くないとは思いませんが、大きな問題が生じるとも思いません」。候補者ごとの具体的な議論は明かせないとしつつ、選考プロセスの透明化と理由の明確化で理解を得たいと述べた。藤垣氏が女性であることは、選考の議論の対象にはならなかったとしている。
  • 藤垣氏(同):「大きな重責を感じている」。学内の意向とずれがあるとしても、学内のコミュニケーションを充実させて乗り越えたいと述べた。
  • 教職員有志(10月13日の要望書):公表された選考理由からは、投票をどう考慮し、どう比べて違う結論に至ったのかを「読み取ることができない」と指摘。説明がないまま、臆測や個人攻撃が広がることも心配している。

要望書の中身

要望書は、複数の部局にまたがる教員9人が呼びかけたもので、13日正午の時点で523人が賛同しました。総長選考・監察会議と、大学の監事にそれぞれ出されています。会議には、主に次の点について、根拠を含めた書面での回答を求めています。

  • 意向投票の結果を、どう考慮したのか。
  • 第2次候補者5人を、どう比べたのか。
  • 第1次候補者から5人に絞った過程。
  • 候補者ごとの、大学の構想やガバナンス改革についての評価。
  • 9月28日の会議の議事要旨を、早く公表すること。

呼びかけ人と賛同者の名前は、学内限りの扱いとしています。

前にも似たことがあった?

2020年の総長選考でも、選考の進め方の公平性や透明性を問う声が学内から上がりました。このとき大学は外部の弁護士を委員長とする検証委員会を作り、選考は正当に成立したと結論づけたうえで、会議の運営や学内への情報提供などの改善点を挙げています。なお、2020年に選ばれた藤井輝夫氏(現総長)は、意向投票でも最多票を得ていました。

まだわかっていないこと

  • 会議の中で、候補者ごとにどんな議論があったのか(議長は「明かせない」としている)。
  • 9月28日の会議の議事要旨がいつ公表されるか。
  • 要望書に、会議や監事がどう回答するか。
  • 第1次候補者の人数について、大学の発表(9人)と要望書(8人)で表記が分かれている。

続報が出たら追記します。

まとめ

  • 東大の次期総長に、初の女性となる藤垣裕子氏が選ばれた。任期は2027年4月から。
  • 学内の意向投票で過半数を得たのは染谷隆夫氏で、1位でない人が選ばれたのは初めてと報じられている。
  • 制度上は問題ないとされる一方、判断の理由が見えないとして、教職員523人が賛同した要望書が提出された。

出典

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