教室で生徒が踊り出す。中国のアニメイベントで、会場じゅうが同じ振り付けで踊る。2026年の秋、日本発のある曲が、国境をあっさり越えていきました。
曲の名前は「INMU KING(インムキング)」。この記事では、この曲とダンスがどこから来て、なぜ海外でまで流行ったのかを整理します。
元ネタ:2026年8月10日に公開された1本のMV
「INMU KING」は、YAJU-MCという名義で、2026年8月10日に動画サイトへ投稿されたミュージックビデオです。曲も映像もAIを使って作られたとされています。
題材になっているのは、日本のネットで20年近く親しまれてきた「野獣先輩」と呼ばれる人物のミームです。もとの映像は成人向けの作品なので、この記事では中身には立ち入りません。押さえておきたいのは、「古くからある日本のネットミームを、AIで歌って踊るMVに仕立て直したもの」という点です。
公開から1か月半ほどの9月25日には、YouTubeでの再生が1000万回に届いたと報告されています。
10月には、オリコンのYouTubeチャートで2位に入りました。初登場から3週続けて順位を上げた、と紹介されています。ネットの内輪ネタが、音楽チャートの記事に普通に載る時代です。
何が面白い:令和の制裁「INMU KINGの刑」
この曲が広まった大きな理由が、別の人物に差し替えて踊らせる遊びです。AIを使えば、写真1枚から誰でもあのダンスを踊らせられます。
そこから生まれたのが「INMU KINGの刑」という言葉。炎上した人や、何かやらかした有名人が、いつのまにか踊らされている。そんな動画が次々に作られました。
もっとも、「ちょっとしたことですぐ踊らせるのは面白くない」という声もあります。めったに見られない極刑だからこそ笑えたのに、という意見です。
なぜ海外で流行った:元ネタを知らなくても踊れるから
10月3日ごろ、中国のアニメイベントで来場者がそろってこのダンスを踊る動画が日本に伝わり、1000万回以上表示されました。台湾のイベントや学校でも踊られていると伝えられています。
日本のネットの内輪ネタが、なぜ言葉の壁を越えたのか。X上の反応から見えてくる理由は、次の3つです。
- 振り付けが真似しやすい。短くて、くり返しが多く、集団でそろえやすい動きです。
- メロディーが耳に残る。歌詞の意味がわからなくても口ずさめます。「ホームシアターで聴いたら音が良かった」という感想まで出ています。
- 人物を入れ替えても成立する。元ネタの人物を消して別のキャラクターにしても受ける、つまり「型」として強い、という指摘がありました。
つまり海外では、元のミームを知っているから流行ったというより、「踊りやすくて、誰にでも差し替えられる曲」として広まったと考えられます。
日本での反応:驚きと、戸惑いと
海外での流行に対して、日本では「なんで中国で流行ってるんだ」という驚きと笑いが多く見られました。
その一方で、冷静な声もあります。題材になっているのは実在の人物で、本人が望んで広まったものではありません。「無邪気に受け入れていいものではない」という指摘は、流行の中でもくり返し出ています。曲の勢いと、この戸惑いが同時にあるのが、いまの状況です。
まとめ
- 「INMU KING」は、2026年8月10日にYAJU-MC名義で公開されたMV。AIを使って作られたとされる
- YouTubeで1000万回再生を超え、オリコンのYouTubeチャートで2位に
- 別の人物に差し替えて踊らせる「INMU KINGの刑」で広がった
- 海外では、真似しやすいダンスと耳に残る曲として流行した
内輪のネタだったはずのものが、気づけば世界で踊られている。AIがミームの広がり方を変えた、ひとつの例と言えそうです。



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